前回はASEAN メコン圏の物流インフラ事情の第1弾として、①青のルート 中国東莞~ベトナムハノイまでの状況を報告した。
今回はその第2弾として、2013年5月と9月に弊社営業マンが視察を行った②ハノイーハイフォンまでの赤のルートと③ラオス・ビエンチャン~タイ国境までの緑のルート(点線は次回視察検討中)の2つの道路インフラ状況について紹介して行きたいと思う。
②ハノイ ~ ハイフォン(約105km)
ハノイはご存知の通り、ベトナムの首都である。そこから東に約100km車を走らせると、急速に整備が進む港町ハイフォンに到着する。ハイフォンには工業団地が7箇所あり、日系企業も数多く進出している。 ここで生産された製品がそのままハイフォン港から輸出されるケースも多い。
まずハノイ市内からソンホン川を渡り、国道5号線に入る。写真①はハノイ市内の写真だが、バイクが多く空気が濁っていて大気汚染の酷さが伺える。 弊社視察員曰く、「街を1時間歩くだけで頭痛がした。」
国道5号線に入ると片側2車線に牛・牛車専用道路1車線の合計3車線となるが(写真②)、交通量が多く車の平均走行速度は55~65km/h程となる。5号線の通行車両の割合は、バイクが40%、乗用車が20%、残りの20%はバスやトラックとなる。
5号線でハイフォン市に入り、そこから港までは一般道となるが、写真③のような未舗装の凸凹道となる。 そこを抜けると北部最大のハイフォン港に到着する。 ハイフォン港は現在4つのターミナルで構成されており、ホーチミンに次ぐベトナム第2位の貨物取扱い量を誇る。 しかしながらハイフォン港は河川港で水深が浅く、大型船の乗り入れが出来ない為、遠距離輸送の際はフィーダー船で中部ダナン港や香港まで貨物転送され、大型船に貨物を積替え、輸送を行う必要がある。
現在、5号線と平行して高速道路の建設が進められている。 完成予定は2014年末だが(恐らく遅れる見込み)、これが完成すると最高速度120km/hで片側3車線の高速道路が誕生する。
トラック輸送費 (所要時間: 2~3時間)
トラック費用 | 5T | 20FT | 40FT |
ハイフォン-ハノイ | US$150 | US$210 | US$250 |
トラック輸送費 (所要日数: 約2日)ビエンチャンは内陸の為、トラックでの陸送のみ
トラック費用 | 5T | 20FT | 40FT |
ハノイ-ビエンチャン | US$2,100 | US$2,300 | US$2,450 |
陸路で国境を越えると、それぞれの国のインフラ整備状況の差異が明らかである。
ラオスは内陸国で港湾がなく、防衛面では有利と言えるだろうが、物流確保の意味では不利な状況下にある。 その為、ラオスは後発開発途上国となり、インフラ状況が他ASEAN国より遅れているが、2011年には第三友好橋が、また第四友好橋も開通予定だ。 更に中国への高速鉄道計画も進んでおり、着々と整備は進められている。日系企業の進出数も、ベトナムの940社に対し、ラオスはわずか68社とまだまだ少ないが、タイに工場を持つ日系企業がコストの安いラオスで製造工程の一部を移管するケースも増えている。
次回は最終第3弾で、ASEANの大動脈である東西経済回廊編(オレンジ色の④のルート)である。 西はミャンマー国境、東はベトナムダナンまでの約1,500kmを、弊社営業マン2名が2日半を掛けて車を乗り継ぎながら視察した状況をレポートしたい。
**参考資料: JETRO発行「メコン地域の物流事情」
-ASEAN メコン圏の物流インフラ事情と輸送コスト
【 I. 東莞~ハノイ編】 - 公開中
【II. ベトナム・ラオス編】 - 公開中
【III.東西経済回廊編】 - 公開中