表面改質技術。金属や樹脂などの表面の特性を変えることで、基材の持ち合わせない特性 や機能を与える技術で、日常、身の回りにある様々な製品に使われております。
今回は、フロック加工(静電植毛)を紹介します。
予め接着剤を塗布した被対象物に、数万ボルトの静電気を利用し、パイルと呼ぶ短繊維を飛翔させ、均密に投錨する加工技術です。
人の頭髪は、平均数百本/cm2といわれています。静電植毛技術では、平均数千本/cm2になります。これは、静電気により、パイル1本1本が直立し密集しているからです。
植毛製品には、平面的なシート状基材に加工した「全面植毛品」と立体的な形状の物体に加工した「成型植毛品」があります。前者には、用途によっては植毛加工後に、表面に柄を付ける製品もあります。
また、後者は被対象物に直接植毛する方法と、全面植毛品を必要な形状に打抜き粘着シールで貼り付ける方法があります。
主にナイロン・レーヨンです。アクリル・ポリエステル等の化合繊やシルク・コットン等の天然繊維、また耐熱等の機能性繊維も使用できます。
アクリル系、ウレタン系、酢酸ビニル系(木工用ボンド)等があります。これら単独ではなく、皮膜強度向上のため、エポキシ等を架橋剤として添加するのが基本的なレシピです。
全面植毛の場合、レーヨンやナイロンの織物・編物・PETや塩ビのフィルムシート・フォーム材(ウレタン・ポリエチレン等)・不織布・紙類にも植毛可能です。
成型植毛の場合、ABSやPP系の樹脂製品や、金属(鉄・SUS・アルミ等)があります。
1)接着剤塗布(コーティング) → 2) 植毛(フロッキング)→ 3) 乾燥・硬化 → 4) 除毛・仕上げ
低摩擦性、防振性、断熱性、吸光性、低反射性、吸水性、保水性、捕捉性、保持性など
■自動車の窓やガラス枠内側のゴム製チャンネル
→ 防振・低摩擦性、ビビリ音の防止、窓ガラスの円滑昇降
■発熱部のカバー
→ 断熱性、手・指の接触時の火傷防止
■紡織機のクリーニング用ロール
→ 捕捉性・保持性、糸くずの捕捉、除去
■化粧品のパフ表面
→ 保持性・その他、極細繊維が肌へ優しくソフトにひろがる