SUS304は、標準的な「18/8」オーステナイト系ステンレス鋼の一種です。
最もよく製品の形態、仕様、表面性状が品揃えされ、最も広く使用されされているステンレス鋼です。
SUS304Lは、炭素含有量が少ないSUS304グレードの一種で、溶接の後のアニーリングを必要とせず、厚い部品(約5mm以上)の製造に広く使用されています。
SUS304Hは炭素を多く含み、高温下で使用することができます。
また、オーステナイト構造によって、これらのグレードは凍結するほど寒冷な環境でも優れた靭性を維持します。
SUS304ステンレス鋼は、多段階の加工の間にアニーリングをしなくても強力な深絞り加工が可能です。
したがって、主にスタンピングや絞り加工のステンレス鋼部品(水パイプ、中空容器、寸胴鍋など)を製造するための理想的な材料です。
ただし、条件の厳しい用途では、SUS304DDQの深絞りシリーズの選択をお勧めします。
耐食性
このシリーズは、通常の大気中や腐食性媒体中のさまざまな環境下で優れた性能を発揮します。
ただし、特定の温度の塩化物中では、孔食や隙間腐食が発生することもあり、60℃以上では応力腐食割れが生じる可能性もあります。
室温では、200mg/リットルの高濃度の塩化物中でも孔食の発生なく耐えることができます。また、60℃では、塩化物が150mg/リットル程度以下であれば、SUS304とSUS304Lの耐食性には差がありません。
耐熱性
870℃未満の断続的な使用、あるいは925℃未満の連続使用では、良好な対酸化性があります。
ただし、水溶液中での経時的な腐食が重要な問題となるような条件には、425-860℃でのSUS304ステンレス鋼の連続使用は推奨されません。
SUS304Lステンレス鋼は、この温度範囲で発生する炭化物の沈殿、析出に対して耐性があります。
SUS304Hは、高温下でも強度が高く、500℃を超える、あるいは800℃さえ超える構造および耐圧用途でも普通に使用可能です。
SUS304Hは、425-860℃の温度で鋭敏化(溶体化処理の効果が崩れること)する可能性があります。
*Solution treatment 溶体化処理:炭素濃度を均一化する処理。
高温で使用しても特に問題はありませんが、水溶液に対する耐食性はいくぶん低下します。
熱処理
溶体化処理(アニーリング)
1010-1120℃に加熱した後の急速冷却。
ただし、これらのグレードのステンレスを熱処理によって硬化させることはできません。
溶接性能
このシリーズは、優れた溶接性能を備えており、すべての標準的な溶接に(溶材の有無にかかわらず)使用されています。
標準溶接では、308溶接棒をSUS304に、308L(またはシリコン含有量の多い同じグレード)をSUS304Lに適用します。
溶接後に厚い部分に熱処理を行うことができない場合は、SUS304の代わりにSUS321ステンレス鋼も使用可能です。
加工性能
SUS304 UGIMA® バー(機械加工性改善グレード)は、SUS304の標準グレードより優れた快削性を備えており、加工速度が上がり、切削工具の摩耗を減らせます。
ダブルグレード認証
SUS304およびSUS304Lは、一般に、特にシート、チューブ、および丸棒のダブルグレード認証を取得しています。
そのすべての化学成分と機械的特性は、SUS304およびSUS304Lの標準仕様を満足しています。
ただし、ダブルグレード認定製品は、高温での使用が許容されない場合もあります。
典型的な用途
食品加工、輸送および保管、特にビール醸造所、ワイナリーおよび乳製品加工の設備、台所の調理台、流し台、諸設備および器具、建築用壁板、手すり、装飾部品、化学輸送コンテナ、熱交換器、組み立てまたは溶接による日よけスクリーン、ねじ留め具およびばね、等。
標準化された仕様の特性データ
ASTM A240/A240M規格は平板圧延製品の特性を 規定しています。
チューブと棒材の特性もそれに応じて設定されています。これらはよく似てはいますが、必ずしも同じではありません。
材料特性
機械的特性
*SUS304Hの粒子サイズの要件:No.7と同等かより粗いこと。
物理的性質(アニーリング状態)
各グレードに関する国際標準(規格)の一覧
可能な代替グレード
- 301/L─硬化率の高い圧延部品と絞り部品などの用途。
- 303─高い機械加工特性、低い耐食性、微細成形と溶接の用途。
- 316─塩化物環境下で高い耐孔食性と耐隙間腐食性が必要な用途。
- 253MA─良好な熱安定性が必要な用途。1150℃以上に最適。
- 430─低コストかつ、ほどよく優れた耐食性と機械加工特性を要する用途。
出典:
https://mp.weixin.qq.com/s/VwtPTL-wUXjbuFkb9r1abg