NSDは中国・広東省東莞市で、アルミ、鉄、ステンレスを使用した各種OA機器用ローラーを全51品目、およそ30万本程度を生産しています。
2010年度の集計では、納入先は同じ広東省内が83%、華東地域向けが16%、日本向けが1%の構成で、お客様の中国工場での生産にご活用いただいています。
生産数量別に見るとアルミ製品は全体のおよそ6割、鉄製品は3割、ステンレス製品は1割の構成となっている一方、製品カテゴリーでは、転写ベルト周辺ロール全体のおよそ6割強、定着ロール用芯金が3割強、感光体用芯金がその他という構成になっています。
以下は製品カテゴリー別のアイテム数の集計です。
以前のニュースレターにてアルミ製転写ベルト関連ロールの生産工程についてご紹介しました。
今回は全体の3割を占めている鉄製ロール芯金の生産工程についてご紹介します。
弊社の鉄製ロールは上記一覧表にある通り、そのすべてが定着ローラー用の芯金です。弊社芯金としての完成品状態の外観は次の写真のようなものです。
当社で一般的に生産している鉄製芯金はSTKMの電縫引き抜き管を使用しています。
一般的な弊社加工工程は次のとおりです。
1:外径の粗研磨 ⇒ 2:U溝・穴明け ⇒ 3:外径の仕上げ研磨 ⇒ 4:保管
⇒ 5:リン酸塩処理 ⇒ 6:内面塗装 ⇒ 7:検査 ⇒ 9:梱包
材料で0.2-0.3㎜程度の肉厚しかないSTKM材を、いびつの出ないように注意しつつ数回に分けて研磨しお客様指定寸法に近づけてゆきます。一定頻度で外径寸法を測定し、出来栄えを確認しています。
ここではスルーフィードセンタレス機を使用して研磨作業を行っています。
上記1の工程で外径を粗加工した素管に対して、抜き・曲げなどの加工を施します。
写真は、U溝抜き・U溝曲げ・長穴抜きの金型を装着したプレス機です。
この写真では左の金型から順に右に打ち、お客様ご要望の形状に仕上げてゆきます。
外径がストレート形状のものは工程①の粗研磨で使用しているスルーフィードセンタレス機と同型機で、外径がストレート形状で無いもの(クラウン形状などのもの)は、インフィードセンタレス機で加工します。
上記左側の写真がスルーフィード機、右側の写真がインフィード機です。
インフィード機の場合、最大全長:450ミリ最大外径:150ミリまでの加工が可能です。
当地は多湿な気候のため、錆びをシャットアウトすることは大変です。
そこで弊社では芯金の研磨仕上げの後油を付けた状態で保管する一方、ご注文数に応じてリン酸塩処理を掛けるようにしています。さらにそのリン酸塩処理の後出荷までの間、全て湿度管理された部屋で保管し、錆びの発生を防止するべく努めています。
弊社の鉄製品は、お客様から表面をリン酸塩処理を望まれます。弊社ではこの工程を内製化しており、日本パーカーライジング殿のPB-880とFT-7の両方の処理が可能です。
写真左上リン酸塩処理前の芯金、写真右上がリン酸塩処理槽です。写真中央が処理後のものです。被膜が形成され金属光沢は無くなっています。
弊社の鉄製品は定着ローラーの芯金として利用されており、芯金内面に耐熱黒塗装を求められる場合があります。その場合にはリン酸塩処理の後、内面塗装を施すことが可能です。左側写真は内面塗装機で、右に見える銀色の長いノズルより芯金内面に吹き付け、塗装を行います。右側の写真は塗装液を撹拌するための機械です。
それぞれの工程能力に応じ材料受入、工程内、完成品、出荷の各検査を実施し、要求仕様の保証を行っています。不良品を除去するのではなく、できるだけ不具合品が出来ないように加工工程では技術員による設備セッティング状況の定期確認と担当作業員による重要項目確認を実施しています。
お客様への納入梱包はプラスチック製の通い箱もしくは段ボール梱包による梱包にて製品をお届けしています。
入庫した製品は製造Lot番号毎にコンピューター管理され、お客様の注文数に応じて先入れ先出し方式で自動的に出荷指示が発行されます。出荷指示に基づきパレット積み・ラップ包装を行い、出荷を待ちます。
最近はお客様のミルクラン配送便での納入がほとんどになり、ほぼ毎日出荷をしています。お客様が通い箱の空箱を配送して下さったその便に納入製品を搭載して納品です。
弊社ではお客様に満足していただく製品をお届けするべく、上記各工程の能力や生産性を安定させるべく改善を進めてゆきたいと考えております。是非、今後ともご指導・ご鞭撻をお願い致します。